日本が決勝トーナメントを賭けて戦う最後の試合。
結果は、世界との差を見せつけられるものとなった。
しかし、それが順当であると言い切る。
日本が戦った3回目のW杯。
グループFは、順当に、勝ち進むべきチームが決勝トーナメントに進んだ。

先制点は日本。稲本→三都主→玉田。
しかし、素直に喜べない。
前半、ブラジルの動きが緩慢で、しまりがないのが気になった。
どうにも、遊ばれている感覚があった。
川口はファインセーブを連発し、6点は防いだと思う。
つまりは、前半、ブラジルのシュートは全て枠内だった。
そして、結果的に日本は残り1分、またしても失点をしてしまう。

1−0で折り返したらどうなっていただろう?

いや、結果は同じかもしれない。
ブラジルは後半、動きが変わった。
緩急のあるスピーディーなサッカー。
押し込まれる日本。ラインがずるずると下がる。
結局は、アジアでの予選を突破してきた戦い方をしていた。
それしか、なかった。
前にボールはつながらない。
結果、上下動せざるを得ない。消耗するスタミナ。
オーストラリア、クロアチアでの試合と一緒で息切れするのは目に見えていた。
プレスが緩くなり、ブラジルの選手を見ることもできず、
ボールを目で追うのが精一杯。
それが、後半の日本だった。

結果、終わってみれば4−1。
それが、現在の日本代表に突きつけられた結果であり、現実だ。

考えてみれば、メディアも僕も多くのサポーターも、
オーストラリアに勝ち、クロアチアに引き分け、ブラジルに負ける、
という図式を思い描いていた。
そして、初戦を落とした。
オーストラリア戦の俊輔のシュートは、
本来なら高原のキーパーチャージとして、無得点にされてもおかしくなかった。
だから、あの1点で終わるのはどうかな。でも、勝てればいいか、
と思っていた。
その結果が、あの惨劇だ。
そして、日本は窮地に立たされる。

あの試合は、“鉄槌”だったと思う。

日本サッカーの今後を考える上で、『ドーハの悲劇』と並ぶ試合だった。
ドーハの衝撃が、その4年後、ジョホールバルで実を結び、
日本はW杯初出場を勝ち取る。
ドーハがなければ、日本は前に進んでいなかっただろう。
そのドーハ以後、出てきたのが中田英寿を筆頭に、世界を見てきた選手たちだ。
稲本・高原ら通称・黄金世代。
その彼らが結集したのが今日までの日本代表だった。
日本最強の布陣、とも言われた彼らは、しかし結局のところ、
ドイツW杯で勝ち点1しか得られなかった。
様々な意味で日韓W杯は待遇が良い状況で勝ち進んだ。
グループリーグでの歓喜とトルコ戦での惜敗は歓喜の気持ちが勝っていた。
結果、2回目のアウェイのW杯は、勝ち点1しか得ることができなかった。
8年前に比べれば、進歩はしたと言えるし、
あの試合は、ピッチ上40度を超える暑さの中、体格差のある相手に
真っ正面から立ち向かった激闘だったと思う。

しかし、そこが限界だったんだなァと今日の試合を見て思った。
後半、ブラジルが最後に交代させた選手はキーパーだった。
控えのキーパーで十分の相手と判断された。
レギュラーを5人入れ替え、控え中心。
キーパーすら、途中交代。

屈辱である。

そこで、おそらく中田英寿の気持ちが折れた。
これまで2試合、足を止めることがなかった中田英の足が止まった。
ワールドユース、アトランタ五輪、フランスW杯予選、フランスW杯、
シドニー五輪、日韓W杯、そして、ドイツW杯予選と本戦。
彼は、初めて気持ちが折れたんじゃないか。
日本サッカーを信じた中田英。
しかし、その限界を目の当たりにした。
その上に、屈辱的な相手チームの交代劇。
あれは、策略として効果は大きかった。
メンタル面での息の根は、あれで完全に止められたと思う。
あんな中田英は、代表では見たことがなかった。
彼の一人芝居という声もある。
しかし、彼が日本サッカーの象徴であることは、事実だろう。
だから、僕は彼を認めたい。
試合後、ピッチに倒れたままの彼を認めたい。

そして、最後まで“気持ち”を感じることができなかった
一部の選手に本気で憤りを感じる。
何かが足りない。
そう思わせる選手に怒りを感じる。

悔しくて、ピッチに倒れ込んだまま立てなかった中田英寿。
この9年間、日本サッカーの象徴であった彼のあの姿が、日本の現実。
そして、出発点なのだと思ったりした。

現時点での日本サッカーの限界。
それが、ドイツW杯だったと思う。
日本サッカー協会は、この4年をきっちりと総括してほしい。
そして、次へ進んで欲しい。
『カイザースラウテルンの鉄槌』は、今後の日本サッカーの鍵である。

だから、川淵キャプテンよ、
あんたもTVに出てコメントを出せ!!
と、本気で思う。

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